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留学中の生活をひっそりと

シベリヤの三等列車

林芙美子さんの書いた「シベリヤの三等列車」というエッセイがある。

著者は1930年刊行の「放浪記」「続放浪記」で売れっ子作家となりその印税で中国を旅行、そしてシベリア鉄道でパリまで旅をする、そのシベリア鉄道の中の話を書いたのがこのエッセイ。あまり有名でもないこのエッセイをどこで知ったのかはもう覚えていない。
私はとりあえずKindleに入れただけでずっと読まずにいたが、ある日サンクトペテルブルグまでの寝台列車で暇を持て位余していたときに読むことにした。
三等列車というのはおそらく今でいう「Плацкарта(開放寝台)」のことだと思う。開放寝台は一番安い寝台列車だ。

http://www.flickr.com/photos/48958530@N00/8496307582
↑こんな感じ。

私はいつもこのチケットを買う。本当は一つ上のランクのクペ(4人部屋の寝台)の方がいいが安さに負けてこっちにしている。もちろん盗難には注意していて、スーツケースはベッドの下、貴重品等は枕元か旅行用の貴重品入れを首にかけて服の中に隠しておく。周りの人がなかなか寝なかったり、いびきがうるさいと大変だけど大体は疲れているからすぐに寝れる。

エッセイでは著者は戦争に巻き込まれる心配をしながら満州で列車の中で必要な毛布や食料を買ってシベリア鉄道に乗り込む。シベリア鉄道の毛布は薄くて寒く、食べ物は高いからだ。三等席にしたのも節約のため。

著者が列車の中で出会った閉ざされたソビエトで自由に生きる人々との交流が生き生きと頭に浮かんできた。それに車窓から見える吹雪に折れさうな白樺のひょろひょろした林も、陽気なロシア人も、今と何も変わっていない。
サンクトペテルブルグまでの約20時間の列車の中で、満州からパリまで電車に乗るってどんなに長いことなんだろうと思った。

 

このエッセイは青空文庫で読めます。短いのですぐ読めます。
林芙美子 シベリヤの三等列車